実習生にとって保育園実習とは、幼稚園実習とは違い、小さな赤ちゃんにも触れられる、胸躍る実習です。
また幼稚園とは違い保育時間も長いので、子どもたちは園で保護者と別れてから保護者が迎えに来るまでどのように過ごし、保育士はどのように子どもたちに対して関わり、そして、自分は保育士になるためには何が必要なのかを知り、学べる、とても大切な機会になります。
実習生と言っても、子どもたちにとっては「先生」です。
先生になるために必要な実習の内容について、ここからはかみ砕いて参ります。
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どのクラスに入るのか
実習期間中、主に入るクラスは決まっていますが、実習生は最初の数日で、乳児クラス(0~2歳児)に入らせてもらい、乳児のことを学びます。
それが終わり次第、実習の後半から最終日までは主に入るクラスにずっと入ります。大体幼児クラス(3~5歳児)になることが多いですが、まれに2歳児クラスなどになることもあります。
見学実習
保育室の後方に座り、保育士や子どもたちを見ながらひたすらメモをとります。
これがゆくゆくの実習で役立つものとなります。実習生は常にメモ帳を持ち歩き、各動きとその時間、活動の流れ、大事だと思うこと、覚えておいた方がいいと思うこと、保育士が準備したこと、保育士が子どもにした関わりや声掛けの内容、環境図などをメモするのが非常に重要になります。


記録を書く大切さ
毎日実習記録を書き、翌日の朝に提出する、という繰り返しになります。実習記録の内容は、ねらい、一日の流れ、環境図、保育士がした援助、実習生の気付き、などを記入することになります。
実習記録は担任保育士や主任、園長が読み、訂正があれば訂正されて、担任保育士からの助言なども書かれて毎日返却してもらいます。
実習生は書きながら、何故ここで担任保育士はこんな言葉がけをしたのかとか、このおもちゃを用意したのは何故だろうと改めて疑問に気付き、それを質問し回答を得ることで、新たに担任保育士の深い思いやねらいに気付くこともできます。
ここで見学実習中にメモがきちんと取れていないと、記録の内容が隙間だらけの身のないものになってしまいます。また、この記録がきちんと書けないと、次項目の日案が全く書けないことになってしまいます。
日案を書く大切さ
日案とは、実習生が実際に子どもたちの前に立って保育するときに、どんなねらいを持って、どういった流れで保育を展開し、どういった環境を設定し、どういった援助や配慮をするつもりなのか、を書く計画案になります。
いきなり丸々一日を身一つで担任保育士と同様に行うのは難しいため、段階を追って進められていきます。最初はほんの5分~10分程度の部分実習、これを何回か経験し、子どもたちの前に立つことに慣れていきます。
それから半日実習を行います。午前一回、午後一回を担任保育士のように保育します。そして最後に一日実習で丸一日保育をする、という流れになります。短時間の部分実習でも部分実習案を書きます。
そうすることで、自分自身の頭の中もまとめられて、いざ子どもたちの前で頭が真っ白になってしまっても、それを見ながらでも進めていけば、助けにもなるからです。一日実習では朝の登園から降園まで全て書きます。
そうした流れは、それまで毎日書いてきた実習記録が役に立ちます。担任保育士はどんな流れで保育をしてきたのか、この時にはどんな援助をしていたかを振り返りながら案を立てることで、自分に置き換えてアイデアを生み出すきっかけになるからです。
日案の内容が充実している程、実りのある実習になるはずです。
部分実習
短時間(5~15分程度)子どもたちの前に立ちます。内容は絵本や紙芝居の読み聞かせ、手遊びなどが多いです。大体、流れとしては先に手遊びをやり、それからお話し、という流れになります。
この時の手遊びは、「導入」と言われ、絵本を落ち着いて集中して見られるように保育士に注目をさせつつ楽しみつつ、盛り上げすぎず、お話に向かっていけるような流れを作る役割を果たします。
先輩保育士のそれを盗んで真似をしたり、学校などで学ぶ機会もあると思いますが、それらを子どもたちの前で試してみるいい機会にもなります。
子どもたちにとって初めての手遊びをやる場合は、1回のみだと無反応で終わってしまう場合もあるので、数回繰り返してみると反応が分かるかもしれません。絵本や紙芝居は、自分で何を読むのか選ぶところから始めます。

半日実習
部分実習で子どもたちに「楽しい先生」だと思ってもらってから、次に進むステップが半日実習です。その楽しい先生と、半日一緒に過ごします。
朝の登園から主活動、給食を食べ終わるまでが午前の半日実習になります。メインは主活動になります。どんなねらいを持って、どんな内容にするのか。製作をするのか、ゲームをするのか、などなどです。
することを決めたら、何を準備するのか、どういった導入で子どもたちを引きつけて、内容に進めていくのか。注意点は何か、など考えることは膨大です。
それを半日実習案に起こして、実際に子どもたちに言葉をかけたりして工夫しながら伝え、進めていきます。午前実習、その翌日が午後実習、という流れで、一日実習に向けて、全日分経験できるように進められます。
一日実習
午前・午後の半日実習を経て、いよいよ一日実習です。丸一日、そのクラスのクラス担任として全て保育を行います。半日実習の反省を踏まえて、より良い実習になるように何度も何度も日案を読み返し、練り直していきます。
反省会はとても大事
各実習を終える度に、担任保育士と反省会をします。半日実習や一日実習は、主任保育士や園長も見学に来ることがあり、反省会に参加して下さることもあります。
反省会では自分の反省点をまとめ、良かった点も悪かった点も発表し、それを踏まえて各先生方に総評してもらいます。それを聞くことで、新たな気付き、反省点、課題を得ることができ、また保育者としてステップアップできるいい機会になります。
そして、その総括の反省を改めて実習記録の最後に書くページがあるので、記入して提出、最後に総評が記入されたものが返却されて実習終了となります。
まとめ
実習の内容は、実習生が皆全員が同じ、ということは決してありません。
主活動を同じ内容にしたとしても、クラスによって子どもも違いますし、もし同じ子ども相手に違う実習生がやったとしても、同じ結果になることはまずありません。
その日、その時の子どもの様子を見て、計画していたことをそのまま実行しようと思っても、イレギュラーなことが起こればそれに対して臨機応変な対応が迫られます。それでも、いくつものイレギュラーを想定して解決しようとする力こそが保育士に求められます。
実習は、「保育とはイレギュラーの連続である」ということに気付かせてくれ、成長させてくれる素晴らしい機会です。子どもの前に立つことを恐れず、いかなる実習も一生懸命取り組んで欲しいものです。